Blogs by Susumu Suzuki

January 5, 2023

アイテ・ノバリカ・グループでは、銀行/証券/保険など各調査チームが毎年1月にその年の「Top10 Trend レポート」をそれぞれ発行しますが、ここでは2023年に共通する方向感をまとめました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。


■ 2021/2022年:パンデミックによる変化が加速
2020年初から始まったコロナ・パンデミックとそれに伴うロックダウンの結果、金融業界はその対応に追われながらも、生き残りをかけてデジタル・トランスフォーメーションを進めてきた。多数の金融機関が、デジタル・サービスにおけるカスタマー・エクスペリエンスを重要な差別化施策と位置づけ、最初はとまどっていた顧客もデジタル・サービスに対する期待値を高めてきている。

顧客とのやり取りがデジタル化され、顧客の足跡がデジタル情報として収集できる一方、クラウドでのデータ分析基盤が普及してきたことから、経営判断やマーケティングにデータを活用する流れが本格化してきた。ただ、デジタル/モバイル/オンライン・サービスの普及が新たな不正手段を生み出す背景ともなっており、金融機関は不正防止対策の手を休めることができない。

December 20, 2022

ウェルスマネジメントの運用報告書は、これまでは売買の確認のため送られてくる書類でしかありませんでしたが、これを顧客満足度を向上させるツールと捉え直す動きが始まっています。アイテ・ノバリカ・グループでは、2022年10月に発刊したレポート:U.S. Wealth Management Client Reporting: At the Center of the Client Relationshipで、その動向をまとめてみました。


■ 事業の変化とニーズの変化
米国のリテール証券ビジネスは、21世紀に入り金融商品の売買を取り次ぐ仲介ビジネス(コミッション・ベース・ビジネス)から、顧客の資産形成を支援するアドバイス・ビジネス(フィーベース・ビジネス)へと変化してきたが、その変化に合わせて売買報告書の位置づけも変わってきた。

December 15, 2022

米国では健康保険でカバーされない医療費用の自己負担分に対応する優遇税制口座「ヘルスケア・セービング口座(HSA)」が普及していますが、非課税で拠出した資金を翌年以降にも繰り越せることから、老後の医療費積立という側面も併せ持っています。ここではその概要を解説してみました。


■ 米国の健康保険の仕組み
米国では国が運営する健康保険は、65歳以上を対象とするMedicareと低所得者向けのMedicaidしかなく、大部分の一般消費者は民間保険会社が提供する健康保険に加入することになる。個人で健康保険に加入することもできるが、ほとんどの企業が福利厚生の一環とし健康保険会社と契約し従業員向け健康保険を提供しているので、消費者は勤務先経由で健康保険に加入するケースが多い。

健康保険会社が提供する保険は、(1)かかりつけ医を指定するかどうか、(2)医療を受ける際に毎回自己負担分を設けるかどうか(設ける場合はいくらか)、(3)年間の免責額(自己負担額)を設定するかどうか(設定する場合いくらか)、(4)どのような医療行為を保険対象とするか/しないか、など様々な条件を設定できる。従って料金も様々となる。

December 10, 2022

顧客満足度の計測にNPS(ネット・プロモーター・スコア)を活用する企業が増加していますが、普及が進んだことで新たな課題も見え始めています。2022年11月に発刊したレポート:Beyond NPS: HOW TO MEASURE CUSTOMER EXPERIENCE EFFECTIVELYでは、NPSを補完する様々な計測手段や顧客満足度測定とビジネスとの相関を高める論議をまとめてます。


■ NPSの普及と課題
NPS(ネット・プロモーター・スコア)は、2003年にベイン・アンド・カンパニーが考案した顧客満足度の計測指標で、2020年時点で米フォーチュン1000企業の三分の二が採用している。計測方法は、顧客に対して「その企業の製品/サービスを友人に勧めるか」の評価を10段階で問い「推奨する」割合と「推奨しない」割合の差を数値化する。企業は、自社に対する顧客の信頼感が計測できるようになることから、多数の企業が顧客との接点の評価/改善に活用するようになった。

Pages