フィナンシャル・アドバイザー(FA)の主要業務は「資産運用アドバイス」ですが、運用手段のコモディティ化が進み、また市場ニーズも変化していることから、FAのサービス内容を「退職後の資産取り崩しアドバイス」にまで拡大する必要があるとの論議です。
■ 事業環境の変化
米国では、フィナンシャル・アドバイザー(FA)の役割は、2000年以前は投資銘柄の推奨が中心であったが、21世紀に入ってからは中長期の資産運用管理/ポートフォリオ管理へと変質してきた。更に昨今では、退職後の資産管理全般(資産運用に加え、定期的に必要となる資金の引き出しにまつわるアドバイス)にまで視野を広げる必要性が論議され始めた。背景には、以下のような市場環境の変化がある:
(1)資産運用サービスのコモディティ化
長期に渡って資産を増やすには、リスク許容度に応じたポートフォリオ運用が不可欠だが、パッシブ運用の投信/ETFの普及やモデル・ポートフォリオを活用することにより、資産運用のローコスト化が可能になってきた。FAにとっては、これまでと同じサービスだけでは収益源であるアドバイザリー・フィーが圧縮されてしまう可能性がある。