Blogs by Susumu Suzuki

January 5, 2022

最近経験したクレジット・カードの不正利用と、その際のカード会社の対応をまとめてみました。金融機関がカスタマー・エクスペリエンス向上に注力している好事例と感じましたがどうでしょう。

■ 月次明細に不審な取引が・・・
毎月送られてくるクレジット・カードの請求書には、いつも目を通しているが、今月のD社の明細には「11/16 PAYPAL*XXXXXX $8.50」という心当たりのない取引があった。確かにPAYPALの自動支払い先にはD社カードを指定しているが、そもそも11月はPAYPALを一度も利用していないし、XXXXXXというお店も聞いたことがない。念のためPAYPALサイトにアクセスしたが、はやり該当するようなトランザクションはない。これはかなりの確率で不正だと思われたので、カード会社へ連絡することにした。

■ Webサイトからのコンタクト
米国では、クレジットカード会社のWebサイトでトランザクション明細をクリックすると、その取引の詳細(お店の業種や所在地、電話番号、利用状況(CNPかどうか)など)が表示され、更にそこから「Dispute(異議申立て)」リンクで問題をカード会社に連絡できる。D社もこの機能を提供している。

December 20, 2021

海外送金にからんだ不正行為(マネー・ロンダリングやテロ資金の送金など)の手口が巧妙化し、金融当局は金融機関に対してAML対策の強化を求めています。金融機関各社も、AMLに多額のリソース(IT投資とスタッフ)を投入していますが、不正手口の巧妙化に対して対策が遅れがちです。ここでは、人工知能を活用したAMLツールを導入した英スタンダード・チャータード銀行の事例をご紹介します。


■ AMLに関する金融機関の事業環境
海外送金にからんだ不正行為(マネー・ロンダリングやテロ資金の送金など)を阻止するため、金融機関は多額のリソースを投入してAML対策を実施しているが、犯罪手口は常に進化しており、対策も改善を続ける必要がある。加えて、ファースター・ペイメントの普及やグローバル貿易の増加、複数の国をまたがる取引が増えるなど、犯罪者が付け入る隙も増えている。金融機関は、精査が必要となる取引件数の増加に悩まされているが、フォルス・ポジティブ(注)が90%に達しており悩みは深い。
(注)AMLにおけるフォルス・ポジティブ:正常な取引であるにもかかわらず、不正の可能性があるとしてアラートの対象(=人的精査が必要)と誤認すること。またはそのトランザクション。

December 10, 2021

金融サービスの多様化を進めているゴールドマン・サックスは、2016年にリテール・デジタル・バンクに進出、更に2020年6月からは、法人向けトランザクション・バンキング(TxB)を開始しました。同サービスは、予想を上回るスピードで事業が拡大しており、日本でも近々サービスが始まるようです。その概要をまとめてみました。


■ トランザクション・バンキングの課題
大手グローバル銀行(JPM Chase、CitiBank、HSBC等)は、長年、企業顧客向けにトランザクション・バンキングを提供している。ただ、サービスの歴史が長いことからシステム・プラットフォームは、以前から利用されているレガシー・システムの機能拡張版で、今日のユーザー・ニーズから見ると、機能面やユーザー・エクスペリエンスの満足度が高いとは言えない。例えば以下のような課題がある。
・多国間/複数口座/多数の銀行にまたがる資金/流動性管理(Liquidity Management)に手間がかかる。口座残高や支払い状況がリアルタイムにトラッキングができない。
・新規口座開設やベンダーの新規登録のKYCに時間がかかる(書面による承認処理など手作業が発生する)

November 30, 2021

JP Morgan Chase銀行が、米国内のリテール・コア・バンキング・システムをThought Machine社のクラウド・ソリューション:Vaultに置き換える話題です。


■ JP Morgan Chase銀行の米国内コア・バンキング・システム更新
米国最大の銀行であるJPMorgan Chase銀行(以下JPM Chase)は、今後のリテール・ビジネス戦略として「Customer Centric」「Mobile First」「Digital Everything」を掲げ、それを実現するためには「Deep Integration」「World Class Data Capability」「パブリック・クラウド」など、テクノロジー活用が重要だとの考え方を表明していた。

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