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クレジットカードの不正利用とカード会社の対応

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最近経験したクレジット・カードの不正利用と、その際のカード会社の対応をまとめてみました。金融機関がカスタマー・エクスペリエンス向上に注力している好事例と感じましたがどうでしょう。

■ 月次明細に不審な取引が・・・
毎月送られてくるクレジット・カードの請求書には、いつも目を通しているが、今月のD社の明細には「11/16 PAYPAL*XXXXXX $8.50」という心当たりのない取引があった。確かにPAYPALの自動支払い先にはD社カードを指定しているが、そもそも11月はPAYPALを一度も利用していないし、XXXXXXというお店も聞いたことがない。念のためPAYPALサイトにアクセスしたが、はやり該当するようなトランザクションはない。これはかなりの確率で不正だと思われたので、カード会社へ連絡することにした。

■ Webサイトからのコンタクト
米国では、クレジットカード会社のWebサイトでトランザクション明細をクリックすると、その取引の詳細(お店の業種や所在地、電話番号、利用状況(CNPかどうか)など)が表示され、更にそこから「Dispute(異議申立て)」リンクで問題をカード会社に連絡できる。D社もこの機能を提供している。

該当取引のDisputeボタンをクリックすると3つの選択肢が提示された:
(1)自分が購入した商品に関する問題か(例えば、オンラインで購入した商品がまだ到着しないのに課金された、内容が異なるなど)
(2)自分が購入した商品の決済に関する問題か(例えば、請求額が異なる、返品したのに返金されないなど)
(3)自分が利用していないトランザクションか

当然(3)を選択する。((1)(2)を選ぶと、まずお店への連絡を促すメッセージが出るようだ)。すると、もう一度カードが利用された日時やお店の場所(今回の場合はPAYPALですが)などに加え、過去に利用した同じお店(PAYPAL)のトランザクション一覧が表示され、加えて次の選択肢が表示された:
(1)利用したことを思い出したので異議は取り下げる。
(2)このお店を利用した経験はあるが、今回のトランザクションは思い出せない。異議申立てに進む。 (3)不正利用と思われるのですぐ連絡をとりたい(電話番号1-800-xxx-xxxx)
もちろん、3番目の電話番号に電話をかけた。

■ カード会社の電話対応
まずびっくりしたのは、自動音声応答ではなく担当者がいきなり電話を取ったことだ。まず本人確認の質問があり(名前と生年月日、社会保障番号の下4ケタ)、電話した理由を説明すると(「11/16 PAYPAL*XXXXXX $8.50」に覚えが無いことと、11月にはPAYPALを1度も利用しておらず、PAYPALのWebサイトにも該当トランザクションがない)、即座に「カードを停止し新しいカードをご自宅に送ります」との回答。その後、住所を確認され(追加の本人確認と思われる)、会話は2-3分で終わった。

新しいカードは、翌日午前中にFedExで到着、フォローアップとして来たEメールには「D社カードを使った自動引き落とし先一覧」がリストされ、カード番号を更新するようアドバイスが記されていた(NY Timesや携帯キャリアなど)。更に翌々日には顧客満足度調査のアンケート・メールも送られてきた。

■ カスタマー・エクスペリエンス
今回のカード会社の対応に関する感想は、一言でいえば「予想以上にスムーズでびっくりした」である。Webサイトの問題切り分けは、お店とユーザー間の問題がカード会社に来ないよう工夫がされていると思ったが、特に煩雑ではない。

そして、一旦「カード不正の可能性が高い」との認識になれば、電話はすぐつながり、本人確認は最小限、代替のカードも最速で到着した。フォローアップもありがたかった。D社のカスタマー・エクスペリエンスに関する様々な工夫が、目論見通りに機能していると感じたがどうだろう。