JP Morgan Chase銀行がコア・バンキング・システムをパブリック・クラウドへ移行

JP Morgan Chase銀行が、米国内のリテール・コア・バンキング・システムをThought Machine社のクラウド・ソリューション:Vaultに置き換える話題です。


■ JP Morgan Chase銀行の米国内コア・バンキング・システム更新
米国最大の銀行であるJPMorgan Chase銀行(以下JPM Chase)は、今後のリテール・ビジネス戦略として「Customer Centric」「Mobile First」「Digital Everything」を掲げ、それを実現するためには「Deep Integration」「World Class Data Capability」「パブリック・クラウド」など、テクノロジー活用が重要だとの考え方を表明していた。

2021年9月、米国の金融業界各誌が「JPM Chaseがリテール・コア・システムをイギリスのベンチャー企業Thought Machine社のVaultへ置き換える」という話題を取り上げた。更に、10月に開催された第三四半期のアナリスト・ミーティングでは、CFOからベンダー選定理由が説明された。
(1)新たなサービスをスピーディーにリリースできるシステム・インフラとなりうるか(アジャイル開発)
(2)様々な銀行サービスを単一プラットフォームで提供できるか(預金/ローンからクレジットカードのポイント管理まで1つのインフラで提供することで、統一されたカスタマー・エクスペリエンスを実現する)
(3)可用性の高いシステム環境を実現できるか(High Availability)
(4)フル・リアルタイム・バンキングが可能か(米国では、まだ小切手処理が残っていることもあり、現在でも口座マスター更新はバッチ処理が多い)
(5)すべてのサービスをAPI経由でも提供できるか(Embedding Bankingの時代に備える) 

■ Thought Machine社
Thought Machineは、2014年にグーグルの自然言語処理部門の責任者だったPaul Taylor氏が英国で創業した企業で、経営陣は多くがグーグル出身だ。同氏は、創業の目的として「銀行業界最大の課題(=レガシー・システム)を解決すること」を挙げている。

同社のコア・バンキング・システム:Vaultは、クラウド・ネイティブでデザインされ、現時点ではリテール・バンキングの主要業務(預金口座、自動車/住宅/無担保ローン、カード)がカバーされている。今後、コマーシャル・バンキングやウェルス・マネジメント機能も追加するとしている。

現在のユーザーは、英ロイズ銀行、英スタンダード・チャータード銀行の香港法人デジタル銀行Mox Bank、英ATOM銀行、SEB銀行(スウェーデン)で、JPM Chaseは米国初のユーザーとなる。JP Morgan Chaseは、この9月に英国で海外初のリテール事業(デジタル・バンキング)をローンチしたが、これがThought Machine上で稼働しているのではないかとの見方もある。 

■ パブリック・クラウド移行は成功するか
JP Morgan Chaseの決断は画期的で野心的なコア・バンキング移行プロジェクトだ。2021年11月には、Thought Machine社は評価価値10億ドルで追加資金2憶ドルを調達、出資者にStandard Chartered、JPM Chase、INGが新たに加わった。JPM Chaseの新システムが無事稼働するかどうか、今後の展開を見守りたい。
 

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