アイテ・グループでは、金融業界の様々なイノベーションの中から、毎年、卓越したサービスを提供する企業に対して「インパクト・イノベーション・アワード」を授与しています。ここでは8月にモバイル・ペイメント・コンファレンス（バーチャルイベント）で発表したデジタル・ウォレット分野の2020年度受賞企業5社のサービスをご紹介します。
■ アイテ・グループのインパクト・イノベーション・アワード（IIA）
金融業界の最新動向を調査しているアイテ・グループでは、金融の様々な分野のイノベーションをフォローしているが、その中から卓越したサービスに対して「Impact Innovation Award（IIA）」を授与している。現在「デジタル・ウォレット」「キャッシュ・マネジメント」「資本市場」「デジタル・ウエルス・マネジメント」などの分野を設定している。
2020年度のデジタル・ウォレット分野の「インパクト・イノベーション・アワード（IIA）」では、以下5つの部門で受賞企業を選出、8月24日に開催されたモバイル・ペイメント・コンファレンスにおいて発表した。
・カスタマー・エクスペリエンス部門
・高普及率部門
・マーチャント（商店）エクスペリエンス部門
・プロダクト・デザイン部門
・付加価値サービス部門
各部門の受賞企業のサービス概要：
■ カスタマー・エクスペリエンス部門：Afterpay
Afterpayは、オンラインや店舗での支払いに際して、均等4回の分割払い（2週間毎ｘ4回）を利息や手数料なしに提供するペイメント・サービスである（延滞のない場合）。カードのリボ払いや分割払い、月賦販売に代わる新しい分割払いモデルであり、2014年のローンチ以来、提携する小売業は5万社を突破、既に1000万人以上の利用実績があり、コロナ・パンデミックも追い風となっている。
■ 高普及率部門：Airtel Money Uganda
ウガンダでは、成人人口2300万人に対して銀行支店560店舗/ATM940台と、決済手段は事実上現金しか存在しなかった。一方、携帯電話の普及率は人口の113%に達しており（1人1台以上）、2012年Airtel Ugandaでは、携帯決済サービス：Aittel Money Uganda（プリペイド方式の電話番号を使った送金サービス）の推進を始めた。現在では、P2P送金に加えビジネスの支払手段としてもAirtel Moneyが定着、また銀行口座やATMとの連携も実施され、Airtel Moneyは同国の決済プラットフォームに発展した。
■ マーチャント（商店）エクスペリエンス部門：VELA
小売事業における決済の仕組み（クレジットカード/デビットカード/プリペイドカード/QR決済/PayPalなど）は、過去30年間にデジタル/リアルタイム/グローバルなエコ・システムへと進化したが、その実態は様々な決済手段が複雑に絡まり、小売事業者にとって管理しづらいものとなってしまっている。VELAは、マーチャントがペイメント/トランザクション処理に必要な機能をワンストップで提供する新しいソリューションとして登場した。
■ プロダクト・デザイン部門：Zeepay
アフリカ各国で導入されているモバイル・マネーは、携帯電話会社が提供している事例が多く、インターオペラビリティに問題があるケースが多い（送金が同一携帯会社間に限られてしまう）。ガーナのZoopayは、携帯電話会社に依存しないモバイル・マネー・ワレットであり、銀行口座への送金も可能なことから全国民が参加できる送金インフラへと発展している。
■ 付加価値サービス部門：DailyPay
米国の場合、企業の給与支払いは隔週払いか月給が多いが、一部の従業員は、給料日までの間のキャッシュ・フローを高金利のサービス（ペイデイ・ローン：日本では消費者金融）や当座貸越しなどに依存している。DailyPayは、企業の厚生部門とタイアップして、従業員が前倒しで賃金にアクセスできる仕組みを福利厚生の一環として提供、企業/従業員の双方から好評を得ている。
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