ミレニアル世代が作った銀行DXソリューション:NARMI

大学生時代に、学生向け信用組合(Credit Union)の運営経験があるメンバーが創業した銀行DXベンチャー:NARMIの話題です。学生時代の銀行運営経験をCX改善とインテグレーションのフレキシビリティ向上に生かしており、今後の事業発展が注目されます。アイテ・グループでも3月に発刊したレポート「Retail Banking & Payments Fintech Spotlight: Q1 2021」で取上げています。


■ パンデミック下での銀行利用の変化
コロナ・パンデミックによるロックダウンから金融機関の店舗利用が減る一方、オンライン/モバイル・アプリ経由の取引が増加している。アイテ・グループでは、パンデミック前時点でトランザクションの65%程度がオンライン経由だったのが、2021年初現在70%を超えたのではないかと推計している。今後は、Z世代/ミレニアル世代が顧客の中心層になることから、パンデミック収束後もデジタル利用の増加傾向は続くと想定される。

このような動向を受け、パンデミック前からデジタライゼーションを推進していた金融機関は、デジタル化施策の前倒しを進めているが、DX投資に躊躇していた中小の金融機関は先行する大手金融機関やネオ・バンクとの差を如何に縮めるか、待ったなしの判断を迫られている。


■ 小規模金融機関向けDXソリューション
2016年に創業したNARMIは、小規模金融機関向けにデジタル・バンキング・ソリューションを提供するベンチャー企業だ。公表されている稼動ユーザー金融機関は6行とまだ小数だが、各社の評価は高く、また、Bankrate.comやNerdwalletなどの金融サービス比較サイトでも「#1 Online Banking」「The Best Online Banking Experience」を獲得している。

同社が提供するサービスには「Consumer Digital Banking」「Small-business Digital Banking」「Account Opening」があり、いずれも既存のコア・バンキング・システムとAPI接続して稼動するデジタル・バンキング・プラットフォーム(WebサイトとMobileアプリ)だ。NARMIでは、「オンライン利用中のサポート依頼が50%減した」「オンライン口座開設の”成功率”が4倍となった」など使いやすさを強調している。


■ 創業メンバーのバック・グラウンド
NARMIの創業者Nikhil Lakhanpal氏とChris Griffinの経歴が興味深い。両氏はジョージワシントン大学の同級生(2013年卒)で、大学時代は学生が運営するGeorgetown University Alumni&Student Federal Credit Union(学生が運営する学生/卒業生向け信用組合:AUM=1800万ドル)」という小規模金融機関のCEOとCTOだった。そこでコア・バンキング・パッケージ上でデジタル・サービスを提供することの大変さを知り、卒業後は一旦CitiBankとBarclaysに就職したものの、後にNARMIを創業したという。

2021年2月、同社は2000万ドルの追加資金を調達しており、預かり資産が1億ドルから50億ドル程度の小規模金融機関(米国には4000行程度ある)のDXマーケットを狙うとしている。NARMIの動き、並びに外部ソリューションを使った金融機関のDX推進動向に注目しておきたい。
 

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