コンタクトレス決済:スマホに続く未来の支払い手段はどれ?

現金に代わる支払い手段としては(物理的な)カードの利用が圧倒的ですが、スマートフォンによるモバイル決済もじわじわとシェアをのばしています。更に「スマホ決済はモバイル決済の第一歩」だとして、より便利/より簡単/より早いをめざしたペイメント手段の研究もおこなわれています。アイテ-ノバリカ・グループでは、6つの新たな決済手段(「ウエアラブル機器」「コネクテッドカー」「バイオメトリックスPOS端末」「バーチャルアシスタント」「体内埋め込みチップ」「脳波による支払(Pay by Thoughts)」)に関する最新動向と消費者の理解に関するヒアリングとアンケート調査を行い、レポート:「Beyond Cards and Moblie Phones:  Payment Form Factors of the Future」にまとめました。


■ より便利でスピーディーな支払い手段
(1)ウエアラブル機器
スマートウォッチなどのウエアラブル機器は、スマートフォンに比べて決済する時間が短く(取り出す手間がかからない)、利用経験者からは「圧倒的に便利」との意見が多く、アンケートでも70%の消費者が興味を示している。小売り事業者にとっては追加投資の必要がなく(=コンタクトレス対応POSで決済可能)、スマートウォッチの普及と機能の成熟(現時点では機器により登録できないカードがある)が待たれる。

(2)コネクテッドカー
給油/有料道路/駐車場/各種ドライブスルー、さらに定期点検/修理など自動車利用に関連した支払いの機会は多い。一方、自動車には、通信機能や自動運転など高度なデジタル・テクノロジーの導入が進んおり、ペイメント機能の組み込みは、敷居が下がっている。課題は、関係者(自動車メーカー/金融機関/多数の小売り事業者)をどう連携させるかであり、テクノロジーの標準化が必要だろう。車内からスマホで決済することと差別化できれば、飛躍する可能性もある。

(3)バイオマトリックス端末
欧州を中心に、指紋/手のひら認証機能(顔/虹彩なども)をPOS端末に組み込んだバイオメトリックス端末の研究が進んでおり、実用化が進めば店頭で何も提示せずに決済が可能になる(日本のバイオ認証ATMを想像ください)。アンケート調査によれば消費者の関心も高く、小売店も利便性の良さ/POS通過のスピード向上(=売上増)の期待がある。ただ、POS端末のアップグレード/入替えが必要になることから鶏卵問題の解消が必要である。

(4)バーチャル・アシスタント/コネクテッド・ホーム
米国では、アマゾン・エコー(アレクサ)やGoogle Homeなどのバーチャル・アシスタントや、ネットに接続された冷蔵庫/WIFI接続可能なプリンターなどコネクテッド・ホーム機器の普及が進んできた。2021年春の消費者アンケート調査(400人を対象)でも、機器の所有率は50%を超えている。うち3%が決済機能を利用した経験があり、67%がペイメント手段として興味があるとしている。更に、コネクテッド・ホーム機器では、プリンター・インクの自動注文や健康器具などマーケティングと決済を組み合わせたサービスが考案されている。

(5)体内埋め込みチップ
消費者の抵抗感は大きい。ただ、利便性/スピード/確実性(=紛失しない)に関しては、他のペイメント手段手段より優位性がある。究極的な手段であるためペイメントだけではアピール性が弱く、幅広く汎用本人確認ツール(パスポート/免許証/PCのログインなど)と位置付ける必要があるのかもしれない。また、内容の書き換えやエラーが生じた際の対策も検討する必要がある。

(6)脳波による支払い(Pay by Thought)
商用化はまだ先だが、すでに金融機関4社が決済に関するパテントを取得している(VISA、Capital One、Bank of America、Ebay)。技術面は「1970-80年代の音声認識と同様」と考えればよいのかもしれない。ただ、「Yes」「No」が区別できたとしても、「ほしい(願望)」と「買う(意思決定)」の差が認識できないと「エラー」が生じる。また、プライバシー問題も避けられない課題だろう。


■ 決済手段の多様化は続く
今回は取り上げなかったが、グローバルな視点からローコストな決済手段として普及が続くQRコードや、仮想通貨決済、(米国では)銀行が提供するP2P決済(Zelle)もシェアを伸ばしている。これらの手段はカードとの連動がない決済手段であり、カードネットワークからは「要注意」と認識されている。

いずれの手段にしても、本格的な普及のためには、よりよいユーザーエクスペリエンス(使いやすくてスピーディー)と、コストをどう吸収しどう収益増に結び付けるかビジネス・モデルを確立しなければならない。支払いの選択肢が増えれば、個人がTPOにより決済手段を使い分けるようになるかもしれない。今後もペイメント手段の多様化をフォローしておきたい。

(参照)
・アイテグループ・レポート 2021年6月発刊「Beyond Cards and Moblie Phones:  Payment Form Factors of the Future」
 

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