プライベート・マーケットのデジタル・イノベーション:Rialto Markets

プライベート・マーケット(未上場株式や私募債)のデジタライゼーションを進めるフィンテック企業リアルト・マーケッツの話題です。同社はブロック・チェーン・ベースのデジタル・セキュリティを使った引受け業務と、代替取引所(ATS)プラットフォームを利用する電子取引環境を提供しています。アイテ・グループでは同社の概要を「2020 Impact INnovation Award in Capitl Markets: Rialto Markets」にまとめています。
 


■ 成長が予想されるプライベート・マーケット
調査によると、オルタナティブ投資(債券や株式など伝統的投資商品以外のアセット・クラスへの投資)の総額は、2025年には2020年の60%増となるとの試算がある(年率約10%増)。一方、米国の上場株式銘柄数は、合併や非上場化により2000年から40%減少している。このような市場環境から、未上場株式や私募債を扱うプライベート・マーケットの成長が期待されている。

以前から、プライベート・マーケットの発展には私募債の募集方法の改善(発行体と投資家とのマッチング方法)や未上場株式の流動性改善(セカンダリー市場の活性化)が必要との声が多く、テクノロジーを使った取り組みも行われているが、期待したほどの進展は見られず、結果、これらの投資機会は、相変わらず機関投資家や富裕層を中心とした一部の投資家に限られているようだ。


  ■ プライベート・マーケットのイノベーション
2016年創業のRealto Marketsは、プライベート・マーケットに向けたブロック・チェーン・ベース金融商品の組成/引受け業務と、セカンダリー電子取引プラットフォーム(ATS)を提供する証券会社だ。ATSは2020年第四四半期に本稼動した。

私募債の募集手順は標準化/自動化されており「会員」となった投資家が応募できる。この仕組みを使い、未上場株式の保有者に現金化の「場」を提供することも可能となると考えられている。更に、セカンダリー市場では私募債/未上場株を幅広い投資家に訴求できる。


■ 今後の計画
Realto Marketsでは、ユニコーンなど高い時価評価を受けている未上場株式の取り扱いを計画している他、販売チャネルの開拓/多様化、更には「美術品」や「ビンテージ自動車」「スポーツ選手」などをも金融商品化し小口で取引できる環境を整えたいとしている。

未上場株式や私募債は、投資ポートフォリオを分散する観点からも注目されており、これにデジタル・セキュリティを組み合わせたRealto Marketsの取り組みは興味深い。同社の創業メンバーは証券取引市場に精通しており、当局と対立するのではなく、丁寧な説明を行ないながらレギュレーションの整備に協力しようとしている。同社を含めたプライベート・マーケットでのテクノロジー活用動向に注目しておきたい。

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