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人工知能で有望株発掘は可能か?:2018年に設定されたETFの場合

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ChatGPTが様々な質問に適切に回答できることから、投資家の間では有望株の発掘に利用できないかとの期待も高まっています。ここでは2018年10月に設定されたAIを使ったアクティブETF:SPDR S&P Kensho New Economies Composite ETF (KOMP)のアプローチと実績をご紹介します。

■ SPDR S&P Kensho New Economies Composite ETF (KOMP)
米国ではAIを使ったETFがいくつか上場されているが、預かり資産額が最大のETFは、State Streetの「SPDR S&P Kensho New Economies Composite ETF (KOMP)」だ(2023年2月現在のAUMは17.5億ドル)。同ETFは、S&P社のKensho New Economies Composite Indexに準拠しており、Kensho Technologyの自然言語処理(NPL)を活用して、上場企業がSECに提出した公式資料を「ニューエコノミーへの貢献」との視点で分析、先行投資分野や今後の事業見通しに関してイノベーティブな方向性を打ち出している企業を発掘する。

「イノベーション」とみなす領域は、クリーン・エネルギー、電気自動車、ドローン技術など25分野で、現時点では約550社に投資している。投資額は、各分野のクウォンツ分析に基づいてウェイト付けを決定する。(人的な)アナリストがカバーできる企業は、どうしても大企業が中心となってしまうが、ここでは全上場企業を同じ土俵で評価するためにAIを活用している。結果的に投資先はイノベーティブな中堅企業が多いという。

■ パフォーマンス
KOMPの運用実績は、株式市場が好況だった2020年から2021年にかけてはS&P500 やNASDAQ総合指数を大きく上回ったが、2022年の落ち込みはこれら指数よりも大きく、現時点での設定来の実績は指数並みとなっている。

■ AI関連ETF:その他のアプローチ
KOMPは、いわばアナリストの効率化/生産性向上にAIを活用している好事例と言えよう。その他、IBMのワトソンを利用して5000社を財務/ニュース/経営/マクロ経済の視点から深層学習し投資先を決めるAI Powered Equity ETF(AIEQ)は、いわばAI活用の正統派だが、設定来の運用実績は主要インデックスを下回っている。一方アナリストが、ロボット技術や人工知能を手掛ける企業を個別に選択して投資するGlobal X Robotics & Artificial Intelligence ETF (BOTZ)のパフォーマンスも、インテックスに追いつけていない。

ChatGPTは、現時点では投資アドバイスを行わないよう制限がかけられているようだが、前述のような状況から見ると正しい判断かもしれない(投資は自己責任でお願いします)。