ビデオ・バンキングは定着するか

コロナ・パンデミックで銀行支店への立ち入りが制限される中、一部の金融機関は「ビデオ・バンキング」の提供に取り組みました。このようなサービスがコロナ後も定着するかどうかは見方が分かれていますが、ここでは積極的な取り組みを行っている金融機関の事例をご紹介します。
 

■ ビデオ・バンキング
米国の金融業界では、顧客とのコミュニケーションにビデオを活用する試みは、ATM画面を通じコールセンター・エージェントのサポートを受けるサービスとして始まった。その後2015年頃からは、顧客の問い合わせをビデオでも受け付ける金融機関が出現(銀行Webサイトやモバイル・アプリ経由)、ビデオ・バンキング環境をソリューションとして提供するベンダーも登場した。

2020年3月から始まったコロナ・パンデミックによるロックダウンでは、銀行支店はオフィス閉鎖対象とはならなかったものの、店舗に入るには事前予約が必要となり、また来店客が減ったため一部の店舗を臨時閉店する金融機関が相次いだ。結果、一般ビジネスでビデオ会議システムの利用が急増したのと同様、金融機関でも顧客とのコミュニケーションにビデオ利用を推進する動きが強まった。

ビデオ・バンキングの用途は、店頭と同様、新規口座開設やカード/各種ローンの申込みが多く、Webサイトから入力された情報と併せてサービスが提供されるオムニ・チャネル化も進んだ。ただ各行とも、あらゆる手続き/相談に利用できることをアピールしている。


■ 大手金融機関での利用事例
全米第6位のUS Bankでは、2016年にビデオ・バンキングを導入していた。パンデミック時にはロックダウン対策としてその利用を積極的に推進、結果2020年1年間で50万回の利用があり、2021年は6月までの半年間で既に100万回を超えたとしている。2021年6月からは「コ・ブラウジング機能(顧客のWebサイトやスマホアプリの操作の様子が銀行側にも表示される)」を追加、顧客側からは担当者が小さなウインドウに常時ビデオ表示されるサービスへと機能強化された。

また同行では、ビデオ・バンキングの接続先をコールセンターだけでなく、店頭の担当者とすることも可能なアポイント機能をもうけ、対応業務も、銀行業務だけでなくテクニカル・サポート(アプリのダウンロード/インストールや、アプリ機能の使い方指導など)にまで広げた。この背景には、パンデミック下でも顔なじみの担当者が対応することでリレーション強化に結び付けようとの狙いがある。コ・ブラウジング機能は、顧客/行員双方から好評で、特に年配客から評価が高いという。
 

■ 小規模銀行でも導入
ニュージャージー州を中心に58店舗を展開するOceanFirst Bankは、預かり資産総額110憶ドル、行員数も1000人未満の小規模な金融機関だ。ただ、テクノロジーへの取り組みには非常に積極的で、2015年に7名だったIT部門は現在80名を超えている。同行では、ビデオ・バンキングを2016年から導入し、今後は店舗統合が可能になるレベル(=来店客が減少する)まで活用を推進するとしている。

オーシャンファーストでは、ビデオ・バンキングは、ビデオ経由でもプロの銀行員として顧客に好印象を与え/信頼を得られることがテクノロジーよりもはるかに重要だと認識、そのためのトレーニングに加え適性の高い人材の採用を進めている。

また、当初は専門職として「Video Banker」を育成したが、昨今では店舗の行員のトレーニングを強化しているという。狙いは(US Bankと同様)顔なじみの行員を通じた顧客とのリレーションシップ強化だ。
 

■ Zoom Fatigueで揺り戻し?
コロナ・パンデミックで注目度が高まったビデオ・バンキングだが、店舗への出入りがコロナ以前に戻った際にどうなるのか、見極めは難しい。大手金融機関の場合、前述のUS BankとCitiBankは積極的だが、他の大手金融機関は様子見感が強い。ビデオ・バンキング・ベンダー各社も引き合いは増えたが、顧客は小規模金融機関が中心のようだ。米国でも「Zoom疲れ(Zoom Fatigue)」という言葉がある中、ビデオ・バンキングの今後の展開に注目しておきたい。

 

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