企業のサステイナブル度合いをどう評価するか:ESGデータ分析市場

データに基づいたESG投資を行うため、ESG格付け機関のレーティング情報が活用されていますが、様々な評価手法ああることから新たなソリューションも多数生まれています。アイテ・ノバリカ・グループでは、ESGデータ分析に関する課題とこの分野に取り組むベンチャー企業4社をご紹介するレポート「Capital Markets Fintech Spotlight: Q2 2021」を発刊しましたが、ここではその中からオウル・アナリティック社をご紹介します。

■ ESG投資と客観的評価の難しさ
昨今、機関投資家やアセットマネジメント企業では、投資先企業をESG(環境/社会/企業)の視点からも評価しようとしている。GPIFをはじめとする世界の公的年金基金もESGを考慮した運用を行うことを宣言しており、世界の運用資産の3分の1は、既にESGの観点から投資先企業を選んでいるとの調査もある。

ESG視点から企業を評価する一助として、ESG格付け情報を提供する企業(格付け機関)が多数登場しており、FTSE-Russell、MSCI、MorningStar/Sustainalyticsなどのレーティング情報が広く用いられている。

ただ、各格付け機関のESG定量化手法/リスク計測手法などはそれぞれ独自であり、同一企業に対する評価が異なるケースもある。結果、投資家が自らの投資スタンスに合致したレーティングを採用したり、複数の格付け機関の情報を併用する、更には独自のアルゴリズムでレーティングを行う機関投資家などもあり、ESG評価方法に関する論議は続いている。ただ、評価に様々な考え方があるがゆえに、新たなサービスも多数登場している。
 

■ コンセンサス・ベースのレーティング
2012年創業のOwl Analyticsも、ESG格付け情報分野のベンチャー企業だ。同社の特徴は、企業が公表している情報の分析に加え、他の格付け機関の情報を収集しそれを踏まえたコンセンサス・ベース格付けを行っている点だ(各格付け機関のレーティング結果が似通っていればウエートを高くし、評価がかけ離れている場合はウエートを低くするなどの手法でコンセンサスを算定する)。ウエート付けコンセンサスは、CO2対策/人権/情報公開など12種のKPI毎に算出し、総合コンセンサス指標とする。

Owl Analyticsでは、この手法でグローバル3万社のレーティングを算出、更に13万種の投資商品(投信やETF)のレーティングも毎月発表している。このようなESG評価のコンセンサス情報は、社内に専任調査チームを抱える大手機関投資家には不要かもしれないが、ESGデータの収集/分析をアウトソースしたい投資家や投資アドバイザー、個人投資家には使いやすいESG情報となりそうだ。同社は、競争力のある価格を提示している。
 

■ ESGデータ分析市場も活況
企業は、今後一層ESGに沿った活動を強化するとともに、情報公開にも積極的に取り組むだろう。一方、投資家は、ESG投資でも十分なリターンが得られることを示す必要があり、分析手法の高度化に取り組むだろう。当局もESGの取組みに関するレギュレーション強化や、情報公開の標準化を進めると思われる。2021年3月にEUで施行されたSustainable Finance Disclosure(SFDR)は、その第一歩だろう。

このような環境の中、多数のベンチャー企業/既存金融サービス企業がESGデータ分析市場に参入しており、大手データ・ベンダーによるESGデータ/分析企業の買収も頻繁だ(MorningStar+Sustainalytics/2020年、Factset+Truevalue Labs/2020年、Moody's+Vigeo Eiris/2019年など)。ESG投資に関連したデータ分析市場の動向に注目しておきたい。
 

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