米消費者向けローン事業:審査にはオルタナティブ・データが必須の時代に

米国の金融機関では、消費者ローンの審査にオルタナティブ・データの活用を進めていましたが、Non-Bankとの競争から本格的な取り組みを迫られており、加えて、ローン提供後における顧客の財務状況の変化を把握する試み(デフォルトを未然に防ぐ)も始まっています。アイテ・ノバリカ・グループでは、この分野の最新状況を「Alternative Data and Artificial Intellignece: Critical Tools in the Lending Toolbox」にまとめています。
 

■ 米国の消費者向けローン・ビジネス:事業環境
米国の消費者向けローン市場(住宅ローン/自動車ローン/無担保ローン/クレジット・カードなど)は、伝統的に銀行や信用金庫の市場だったが、最近はノンバンクの躍進が目立っており、住宅ローンの場合、インターネットで申込みを行うRocket Mortgageが2020年全米住宅ローン融資額トップとなった(米国住宅ローン市場では、トップ5のうち3社がNon-Bank)。

ノンバンク各社は、レガシー・システム/ビジネス・プロセスに囚われることなく、ネット経由で分かりやすいローン申込み/有利な金利/融資実行までの迅速さなどのユーザー・エクスペリエンス面で優位性を誇っており、金融機関は、ローンのリスクを高めることなく競争力強化を図る必要に迫られている。
 

■ オルタナティブ・データの活用
米国の金融機関は、伝統的にクレジット・ビューローが提供する個人別クレジット・スコアを信用度審査の拠りどころとしてきた。昨今、ノンバンクに対抗する競争力強化の切り札として、顧客に関連するオルタナティブ・データ(下記が主要なもの)をクレジット・ビューローやサードパーティーから(あるいは顧客本人の承諾を得て)入手し、信用度をより精緻に把握することでリスクの低い顧客に有利な商品を提供しようとしている。

(米国金融機関で利用されている主なオルタナティブ・データ)
・賃貸住宅の支払い状況(住宅ローンの支払い状況(遅延がないかどうか等)は従前からクレジット・ビューローが把握していた)
・公共料金の支払い状況
・パブリック・レコード(政府が把握している犯罪歴など)
・金融機関の入出金データ(顧客の了解があれば、口座情報を他の金融機関から入手できる)

オルタナティブ・データの活用は、これまでローン審査や本人確認、或いはマーケティング分野が中心であったが、既存顧客の財務状況の変化(レイオフにより収入が途絶えたり、給与の低下など)をできるだけ早く把握し、ローンの保全策への応用も始まっている。
 

■ コロナ・パンデミック後に利用ニーズの拡大予想
米国では、パンデミックに対する政府の各種支援策や低金利政策が実施されたことから、個人ローンのデフォルトは、これまでのところ予想に反して低く抑えられているが、今後各種支援策が終了し金利が上昇を始めた場合、ローンに問題が発生する可能性が高いと考えられている。

金融機関は、新規ローンの審査を慎重に行う意向を示しており、既存ローンの支払状況の管理もより徹底したい意向だ。そのためには、オルタナティブ・データの活用ニーズがさらに高まると思われる。消費者ローン事業におけるデータ活用を引き続きフォローしておきたい。

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