デジタル・トランスメーションを支えるシステム運用:AIOps

コロナ・パンデミックに伴う在宅勤務やデジタル庁の新設など、ざまざまな分野でデジタル・トランスフォーメーション(DX)が注目されていますが、米国では、アプリケーション面に加えシステム運用面での見直しも必要との認識が生まれています。アイテグループでは、そのソリューションであるAIを活用したシステム運用ツール:AIOpsの動向を「AIOps in Digital Transformation: Managing Complexity in the Modern IT Stack」としてまとめました。ここではその概要を解説しています。
 

■ DXでシステム環境が複雑化
デジタル・トランスフォーメーション(DX)には様々な定義があるが、ここでは「ITを活用してカスタマー・エクスペリエンス(CX)を改善し、競争力を高めること」と考えたい。制度面やビジネス・プロセスの見直しはもちろんだが、顧客との接点には、魅力的なモバイル・アプリや使いやすいWebページが必須となる。しかも、ニーズの変化に合わせ、頻繁にアップデートしないと「競争力」が低下してしまう。

このようなDXのニーズに対応すべく、多くの企業がマイクロ・サービス/コンテナ化/DevOpsなど、アプリケーションを小さな単位で開発して頻繁に更新/改善/リリースできるシステム環境を構築している。このような新しいシステム環境で作成されたアプリが毎週のようにリリースされ、しかもCXの観点からシステム・トラブルはこれまで以上に厳しい目が向けられるようになった。

 

■ システム運用にもAIの活用
これらの動きをシステム運用面から見ると、DXの進展はシステム環境の複雑化であり、アラートの増加やアラート・パターンに変化が起こり、運用要員の介入が必要となるケースが増加する。加えて、クラウド利用やAPI接続もこの問題に拍車をかけている。この課題に対して、既存のスクリーニング・ツールにAI(機械学習/ディープ・ラーニング/予想分析など)を追加することで、アラートのパターンをより精緻に分析し、人的介入が必要なケースを最小化する運用ツール:AIOpsが注目されるようになった。

運用管理ツールの大手ベンダー(CA、HP/Aruba、ServiceNow、IBMなど)がAIを活用してスクリーニング機能を強化しているほか、AIOpsに特化したスタートアップも登場している。多くのツールがビジュアライゼーションを重視、アラートの削減とともにアラートを簡単にトレース/分析できる仕組みを争っている。人工知能を使った自動応答を目指す動きもあるが、現時点では、False Positiveを減らせることが高く評価されているようだ。

 

■ 実績
アイテグループの調査によると、AIOpsを導入しているユーザーで、以下のような実績も上がってきた。
(1) 大手ITベンダーA社では、主要データーセンターに順次AIOpsを導入しているが、False Positiveが減り「運用障害」としてフォローしなければならないケースが50%以上減少したという。

(2) 米国の大手B行(トップ50行以内)では、DXで開発したマイクロサービスのリリース前テスト環境にAIOpsを導入したところ、問題の把握/修正が短時間で可能となり、総合テストの時間短縮と本番稼動後のトラブルが減少したとしている。

(3) 米国の中堅地銀C行では、2018年にデータセンターにAIOpsを導入したが、2年後の現在、システムのダウンタイムが90%以上減少している。最大の理由はアラートのFalse Possitiveが減少したことで、スタッフが本当に対応が必要な障害の分析/回復に時間をさけるようになったからだという。

デジタル・トランスフォーメーションを検討中の企業は、並行して運用環境へのAIOps導入も検討されてはどうだろう。

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