2022年はクリプト正式認知の年?米連邦政府の取組み

2009年にビットコインが誕生して以来、暗号資産(Cryptocurrencies/仮想通貨/クリプト)に対する評価は様々でしたが、13年を経た現在、オンライン・コミュニティの一決済手段から、機関投資家も注目するアセット・クラスへと成長を遂げています。そのような変化を受け、2022年3月米国では、バイデン大統領が「暗号資産に関する大統領令」を発表、各種レギュレーションの検討やガイドラインの整備が始まろうとしています。暗号資産に関する昨今の動きをまとめてみました。


■ 暗号資産に関する大統領令
2022年3月バイデン大統領が署名/発布された大統領令は、大統領が政府各省庁に対して、暗号資産市場全体を俯瞰しながら様々な課題を精査し、必要ならばレギュレーションの検討やガイドラインを整備するよう指示している。主要な課題は以下のとおり:

(1)レギュレーションの整備(財務省や規制当局などに対して)
「消費者保護」や「マネーロンダリング/不正送金の排除」にとどまらず、ステーブルコイン(ドルや金にペグした仮想通貨)の増加にともなう金融市場の安定性確保の面からも、調査の強化/規制作り検討の本格化を求めている。また、連邦政府による規制(金融商品)と州政府による規制(仮想通貨取引所)の整合性問題や、EUで検討が進行している暗号資産規制法案を念頭に他国の規制との連携も求めている。

(2)米国の競争力確保(商務省などに対して)
こちらは中国の動きを念頭に、技術力の強化だけにとどまらず、民主的価値観と矛盾しない形での金融システムの進化/イノベーション推進策を求めている

(3)デジタル・ドル(財務省やFRB、法務省などに対して)
(デジタル人民元やステーブルコインの普及を念頭に)基軸通貨としてのドルの地位を低下させないために、デジタル・ドルの導入に関するメリット/デメリットの精査、またデジタル・ドルを発行する場合の法的手続きを調査するように求めている。

その他、金融包含の視点からのデジタル・ドルの活用方策や、仮想通貨採掘/運用にかなりのコンピュータ・リソース(エネルギー)が必要になることと環境保護との関係の整理も求めている。当大統領令は、全体として暗号資産にまつわる様々な課題の更なる精査と整理を求めており、関係者からは概ね好意的に受け入れられているようだ。


■ 大手金融機関の暗号資産関連サービス始まる
これまで「マニア向け」「若年層向け」「投機筋向け」のイメージが強かった暗号資産の取引だが、大統領令の発布と前後して、大手金融機関のクリプト関連商品/サービスが相次いで発表されている。いずれも、これまで以上の幅広い顧客層をターゲットにしていると思われる。

(仮想通貨ETF)
2021年10月、プロシェアーズが、米国初のビットコインETFであるBITO(ビットコイン先物に連動するETF)を上場した。これまで他国での仮想通貨ETF(仮想通貨インデックスに連動するETF)発行事例はあったが、米国では取引の透明性や投資家保護の視点から認められていなかった。ETFの上場を受けてビットコイン価格も一時最高値を記録した(その後は低下しているが)

(401kを通じた仮想通貨への投資)
フィデリティ・インベストメントは、米国最大の退職金口座(401k)管理サービス会社だ(全米2万3000社の従業員、延べ2700万人にサービスを提供)。2022年4月、同社はビットコインを401kポートフォリオに組み込むサービスを2022年末までに開始すると発表した。これまでは、個人がビットコインを購入する場合、CoinBaseなどの仮想通貨取引所に口座を開設する必要があった。ただ、この動きに対して米労働省(=退職金口座の監督官庁)が慎重に検討を進めるようコメントを発表しており、動向が注目される。

(ビットコイン担保ローン)
同じく2022年4月、ブルームバーグ・ニュースが、ゴールドマン・サックスがビットコインを担保にしたローンを提供する準備を行っていると報じた(ゴールドマン自身は未発表)。また、同社が仮想通貨取引所との提携やビットコインETFを検討しているとの報道もある。これまでビットコイン担保ローンは数社から提供されていたが、もしゴールドマンが実施すれば大手金融機関で初めてのケースとなる。


■ 新しい動きの背景と今後の動き
このように米国政府や大手金融機関の暗号資産に対する姿勢が積極化している背景には、仮想通貨の不正送金やマネーロンダリングを検知できるデータ分析ツール(チェイナリシスなど)(注)が出現がし、各国当局や仮想通貨取引所において一定の実績を挙げていることがあると思われる(ランサムウエア攻撃に対して仮想通貨で支払った身代金の一部を取り返したとの報道もある)。
(注)これらコンプライアンス・ソフトウエアは、オープンであることが保障されているブロックチェーンの取引記録とメタデータ(送金元/送金先情報)に、世界の主要仮想通貨取引所の暗号資産マーケット・データを収集/組み合わせることで、全世界の仮想通貨取引の全貌を把握できるとしている。

今後、連邦政府の暗号資産取引に関する適切なルールが整備されてくれば、暗号通貨が安全でローコストな支払い/資金移動手段だとの認識が広まる可能性も出てきたと思われる。暗号資産にまつわる今後の動きに注目しておきたい。

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